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1スレ目:17-19 堂上は笠原とキスをしていることを盛大に後悔していた。 業務時間外の書庫だから人が来る可能性は限りなく低い。念のため内から鍵をか けているから、万が一鍵を開けられても見られることは無いだろう。 笠原を書棚に押し付ける形なのは、初めての時笠原の腰がくだけて立っていられな くなったからだが、両手では足りないほどキスを繰り返した今、もう慣れたのか足 は少し震えるものの堂上の支えもあって何とか自立している。 本の匂いに仕事を思い出す(というかここは仕事場だ)場所に、空調と舌を絡める音 だけが響く。湧き上がる欲望を押さえ込みつつ身体を離すと、笠原は少し潤んだ目 で「今日もありがとうございました」と言った。 「うまくなったな」 正直溺れてしまってあまり記憶に無いが、そんなことはおくびにも出さずキスの評 価をする。なんと馬鹿げた関係。 キスを教えて欲しいと請われた時になんで断らなかったのか。普段なら絶対に了承 しないような願いに応えたことについて、今更考えても詮無いことであった。 はじまりは2週間前に遡る。 「聞いてください!王子様の居所掴めそうなんです!」 堂上は含んでいた茶を盛大に噴出し、かつ気管に入れてむせた。 「何やってるんですか汚いー」 っていうか何を言っているんだキサマは、と言いたいところをさらにむせる。正直 事務室にいるのが自分だけでよかったとか思えたのは、咳が落ち着いてからだった。 笠原の王子様話は、堂上から叱られる度に堂上との比較という形で俎上に上ってい たため、笠原にとって堂上に対しては持ちネタ並に露出している。 今回の話も事務室に堂上以外の誰もいなかったから始めたのだろう。 内心の動揺を気取られぬように落ち着いた声で先を促してみる。 「…それで、何処の奴だったんだ」 「なんか、北海道にそれらしき人がいるらしくて~」 堂上は椅子から転げ落ちそうになり、やっぱり自分ひとりでよかったと思った。小 牧あたりが聞いていたらもう大爆笑であっただろう。 「柴崎情報ですよ。次の連休に観光がてら二人で行ってみようって話になってるん です」 何のつもりだろう。柴崎は堂上が笠原の『王子様』であることを知っているはずだ。 「からかわれているんだ!」 「何言ってるんですか、酷い。柴崎の情報網の凄さは教官だって知ってるじゃない ですか!っていうか柴崎のことを信じられないんですか?!」 知らぬは彼女ばかりなり。心底心配したのに、この扱いはどうだ。っていうか何を 考えている柴崎。どうにも返事が思いつかず黙っていたが、本当の爆弾はこの後に 来た。 今までの勢いが全て無かったかのように沈黙した後、 「キスを教えてもらえませんか?」 「…は?」 「だから、キスの仕方を教えてくださいって言ってるんです!」 顔を赤らめてはいるが何故か喧嘩腰で言われたその言葉の意味が飲み込めない。 どんな飛躍だ。 『あなたを追いかけてここにきました』と言うということは耳にタコが出来るぐら い聞いているが、なぜそれがこんなことに。 笠原のもったいぶった言い回しを要約すると、『キスが拙いとカッコ悪い』らしい。 意味が分からない。柴崎の入れ知恵か?遊ばれているのか? ─────というか、何故俺が、俺にキスをするための練習台に? 怒っていいのか喜んでいいのか何なのか分からなくなり、とにかく怒鳴りつける。 「アホか!俺はそんなことを教えるためにお前の上官をやってるんじゃない!」 「でも頼めそうな人堂上教官しか…」 「でも とか言うな常識で考えろ!こういうことは好きな人とやるもんだろう!」 あ、これは。 泣き顔と泣きそうな顔はいくらでも見てる。これは、泣きそうな顔だ。 「堂上教官のご迷惑も考えず すいませんでしたッ。小牧教官に頼んでみます!」 くるりと踵を返し、事務室を出て行こうとする。 何でだ。何故そこで小牧。あっちにはれっきとした彼女がいるからそれこそ迷惑 じゃないのか。しかし一途な笠原のこと、頼んでみると言うのだからきっと頼むに 違いない。そう思った瞬間堂上は笠原の腕を掴んで引き止めていた。 冷静に考えれば小牧が引き受けるわけもなかったはずだが、その時は混乱していた という言い訳ももう遅い。 こんなに馬鹿だとは思わなかった。誰がだ?俺もだ。 笠原の去った書庫で、堂上は一人ため息をついた。 了
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2スレ 479-484 こういう場所に来るのは、一体何度目だろうか。 郁は、目の前の大きな嵌め殺しの硝子窓から見える広大な夜景をぼんやりと眺めながら考える。 しかし、両手を越えた辺りから数えるのが面倒になり、郁は早々に思考を放り投げた。 そして、その代わりのように唇からは溜息が漏れ、郁の眉間に大きな皺が刻まれる。 もう少し恋愛に手慣れていれば、こういう場所に来ても緊張しないのだろうか。 郁の脳裏に、ルームメイトで友人の柴崎の顔が浮かぶ。 おそらく彼女ならこのような場所に来ても右往左往することなどなく、 部屋にあるソファにでも座って、ルームサービスのドリンクを優雅に飲んでいることだろう。 しかし、残念ながら郁にはそんな余裕など全くない。 この部屋に足を踏み入れた瞬間から、 郁の心臓は今にも口から飛び出してしまいそうになる程暴れており、早鐘のように鳴っている。 随分長いこと早い鼓動を刻んでいるせいか、頭がクラクラし始めた。 このままこの状態を続けていれば、その内意識を手放す羽目になるだろう。 郁は、今にも飛びそうな意識を繋ぎ止めるべく、 乱れた心拍を落ち着かせるように、ゆっくりと深い呼吸を繰り返した。 良化隊と戦う時も常に緊張しているが、このように意識が飛びそうになることなどない。 やはり緊張の種類が違うのだろうか。 それなりに回数を重ねているのだから、 いい加減慣れるべきだ、と自分でも思うが、こればかりは仕方がない。 二十数年間掛けて母親から培われた純潔思考は、なかなか払拭出来ないもので、 今もなお、こういう場所に異性と泊まることに、どこか後ろめたさを感じてしまう。 毎回初めての時のように緊張してしまうのは、間違いなくこのことが原因だろう。 思っていた以上に、母親の呪縛は強いようだ。 諦めに似た溜息を小さく零し、ゆっくりと焦点を目の前に広がる夜景に合わせる。 堂上は、乙女思考の郁に合わせてくれているのか、 必ず夜景が綺麗なシティホテルに連れてくる。 それがたまにならそれほど気にならないが、 毎回なものだから、いくら階級が違うと言っても堂上に全て負担させるのは気が引けて、 郁もお金を出すと申し出るのだが、堂上は頑なにその申し出を拒絶する。 こういう場所の金を女に払わせる程無粋な男じゃない、の一点張りなのだ。 正直、郁の給料はお世辞にも多いとは決して言えないので、 堂上の気遣いはすごく有り難いのだが、やはり申し訳なさが立ってしまう。 しかし、あまり言い張ると喧嘩になりかねないので、 ここは素直に甘えるのが正解なのだろう。 いくら恋愛経験のない郁でもそれぐらいのことは分かる。 「……きれーい」 紺碧のキャンパスの中に散りばめられた色とりどりの光を眺めながら、 自然と郁の唇から感嘆の溜息が零れた。 煌く光を眺めていると、自然と思考が停止してしまう。 この景色の前で、あれこれと悩むのは無粋でしかないように思えてしまう。 美しいものには、どこかそういう不思議な力がある。 郁が夜景を眺めていると、窓硝子にぼんやりと人影が映った。 「そんなに顔を寄せて、ガラスを頭で割るつもりか?」 不意に背後から声がして、郁の体が大きく跳ねてしまう。 ついでに、「ぎゃあっ!」とお世辞にも色っぽいとは言い難い悲鳴まで上げてしまった。 その悲鳴が余程耳にきたのだろう。 堂上は、不機嫌そうに眉根を寄せて、人差し指を耳に当てた。 「ぎゃあ、とはなんだ! ぎゃあとは! 人を化け物みたいにっ!」 堂上から上がる怒声に、郁は思わず肩を竦める。 しかし、ここで怒鳴られたままで終わらないのが、郁だ。 「だ、だってっ! 教官が悪いんじゃないですか! 背後から突然現れて!」 「背後からって人聞きの悪い! 普通に風呂から出てきただけだ! お前がボーッとしてるのが悪いんだろうがっ!」 「ひ、ひどい……っ!」 結局、言い返す言葉が見当たらず、郁は不満そうに唇を尖らせた。 堂上は、そんな郁など見慣れたものなのだろう。 さして気にした様子も見せず、バスタオルで頭を拭きながら、郁の横に立つ。 「気に入ったのか?」 「え?」 「随分と夢中で見ていたからな」 郁を見遣り、堂上は小さく笑う。 髪の毛を拭うバスタオルの合間から見えた瞳の優しさに、ドキリと心が一つ跳ねた。 夜景を見て忘れかけていた緊張が、また郁の中で存在を主張し始める。 隣に立つ堂上の浴衣姿が、また一層この緊張に拍車を掛けた。 合わせ目が僅かに肌蹴ており、日に焼けていない肌がそこから覗いてる。 これからこの胸に抱かれるのか、と思うだけで、 羞恥で思考が焼き切れてしまいそうになった。 郁は、罰が悪くなり、慌てて瞳を堂上から剥がし、目の前の夜景に向ける。 「い……一応あたしも女ですから、こういうのは好きです」 緊張しているせいで、上手く舌が回らない。 思わずどもってしまった。恥ずかしい。 「一応って、お前は充分女だろうが」 「……え?」 不意に隣から伸びてきた腕が、郁の肩を強く引き寄せた。 そのせいで、郁の体が半ば強制的に堂上の方に傾く。 そして、すぐさまそんな郁の身体を心地良い拘束が襲った。 堂上に抱き締められた、ということに気付いたのは、 郁の首筋に熱い吐息が触れてからだ。 「きょ、教官……っ」 「俺にとっては、ずっと女だ」 普段の歯切れの良い話し方をする堂上からは、 想像もつかない程、その声は熱く、そして甘い。 僅かに掠れたその声に、ゾクリと郁の背が粟立つ。 そんな甘美な感触に意識を囚われていると、 突然、背後から伸びてきた腕が郁の顎を掴み、そのまま振り向かせた。 先程までガラス越しだった堂上の端正な顔立ちが目の前に迫る。 「きょ……」 言葉は最後まで言わせて貰えない。 郁の唇から零れるよりも前に、焦熱が唇を覆い、堂上の舌がその言葉を攫っていった。 追い求めてくる舌の熱さに、クラクラする。 息苦しくなって堂上の舌から逃れようとすれば、 そうはさせまいと、更に深く郁の舌を絡めとった。 「ん……ふぅ……んっ」 唇の合わせ目から漏れる声が、次第に甘く濡れ始める。 恥ずかしくて止めたいのに、足りない酸素を補おうとすると、 自然とそれと共に甘い声が漏れてしまう。 この声を堂上に聞かれているかと思うと、羞恥で倒れそうだ。 もう何度となく聞かれている声だし、今更なのは充分分かっているが、 恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。 舌が絡み合う度に、口内で水音が跳ねるように踊り、 それらが粘膜を通して脳髄に直接響いて、徐々に羞恥が曖昧になっていく。 郁の唇を貪っていた堂上の唇が、ゆっくりと離れる。 漸く息吐くことを許され、郁の唇から小さく吐息が漏れようとした、その瞬間、 彼女の唇から漏れたのは吐息ではなく、小さな悲鳴だった。 郁の唇を解放した堂上の唇が、今度は郁の項へ落とされたのだ。 郁の肌の弾力を楽しむように、 時折肌を押しながら、堂上の舌がゆっくりと首を辿っていく。 ざらついた舌の感触の気持ち良さに、 舌の動きに合わせて郁の体がビクリと大きく跳ねた。 舌で撫でていたかと思えば、思い出したかのように唇で吸う。 それが酷く気持ちが良くて、込み上げる快感に耐えるように郁が瞳を固く閉じていると、 浴衣の合わせ目から何かが入ってきた。 弾かれたように瞳を開ければ、 窓硝子に浴衣の合わせ目から手を差し入れられている郁の姿が映っていた。 堂上のもう一つの腕が裾を捲り上げて、郁の太腿を撫で上げており、その姿は酷く卑猥だ。 あられもない自分の姿に、郁の羞恥が煽られる。 「や……っ」 慌てて堂上の腕を払おうとするが、堂上の腕はそんなことで簡単に払われたりはしない。 悔しいけれども、一度だって郁が堂上に勝てたことなどないのだ。 抗う郁を無視し、堂上は更に手の動きを大胆にしていく。 申し訳ない程度にある胸を揉みしだいていた手が、下着を上へずらした。 そのせいで乳房が下着から零れ落ちる。 すぐさま堂上の指が、乳房を擦り上げた。 「や……んんっ」 強い快感に思わず声が漏れてしまい、自分の声の甘さに、郁は酷く驚く。 郁は、慌てて下唇を噛締め、声が零れないように込み上げる快感を奥へ押し遣った。 しかし、そんな郁を嘲笑うかのように、更に堂上の指は郁を駆り立てていく。 裾から差し込まれた手が、下着の上から割れ目に触れてきた。 身体は随分と待ち望んでいたのだろう。 それだけで、体の奥から熱いものが染み出てくるのが分かる。 「このままだと下着が汚れるな」 堂上の低い声が耳朶に触れた、次の瞬間、下着を下ろされた。 太腿を過ぎた下着は、呆気ない程無力に、重力に従い床に落ちる。 濡れそぼっているせいか、ヒヤリとした空気が、そこに触れた。 露になった割れ目を、堂上の指が擦り上げる。 それだけでグチュグチュと卑猥な水音がそこからし、羞恥から郁の瞳に涙が滲んだ。 「郁」 低く甘い声が、郁の名前を象る。 自分の名前が、こんなにも甘美な響きをすることを、 郁は堂上に呼ばれて初めて知った。 「きょう……か……」 堂上の指が、蜜壺の中へとゆっくりと沈んでいく。 完全に濡れているそこは、何の抵抗もなく、堂上の指を飲み込んだ。 待ち望んでいた感触に、郁の体がブルリと震える。 指の根元まで沈んだ指は、そのまま第二関節で折られた。 そのせいで、堂上の指が膣壁に当たり、更に郁の体が大きく跳ねる。 そして、その場所を堂上の指が引っ掻くように何度も擦り上げた。 突然訪れた巨大な快感に、下唇を噛締めていた力が緩みそうになる。 しかし、ここで緩めてしまえば、恥ずかしい声を上げてしまうだろう。 郁は懸命に緩みそうになる歯に力を込め、唇を噛む。 そんな郁に気付いたのか、乳房を擦り上げていた堂上の指が、郁の唇に触れた。 「郁、唇を噛むな」 噛締める歯から逃がすように、ゆっくりと下唇を撫でる。 「で、でも……声が……」 「声ぐらい聞かせろ」 「い、いやです」 郁は、懸命に首を横に振って、堂上の申し出を拒絶した。 しかし、許さないと告げるように、堂上の親指が下唇を撫で続ける。 「聞かせろ」 「だ、だめです」 「上官命令だ」 きっぱりと言うと、堂上は郁の唇を強く押した。 「……ず、ずるい……。こんな時に上官命令なんて……」 上官命令と言われれば、部下である郁に抵抗など出来る筈がない。 「こういう時にこんなものは使いたくはないが、 こうでもしないとお前は唇を噛むのを止めないだろ」 「だ、だって……」 「そんなに強く噛締めたら、唇が切れる」 不意に郁の唇を熱い吐息が撫ぜ、そのまま唇を塞がれた。 再び、郁の中に沈められていた指が、ゆっくりと動き出す。 今度は指を二本に増やされ、更に郁の中で暴れた。 二本の指が別の動きをし、様々な場所を刺激していく。 その指の動きに合わせて、激しい卑猥な水音が響き、部屋の中で踊った。 先程まで唇に触れていた指もまた、再び乳房へと戻り、郁の快感を更に煽る。 その上、唇の中では堂上の舌に絡み取られてしまい、呼吸すらままならない。 体中に落とされる快感に、郁の思考は完全に甘く蕩けてしまった。 ゆっくり唇が離れ、お互いの視線が絡み合っていく。 郁の中から抜かれた堂上の手は、掌まで愛液でぐっしょりと濡れていた。 まるで郁に見せ付けるように大きく舌を出し、その手をゆっくり舐めていく。 淫猥な光景は酷く扇情的で、郁は背徳感と興奮で眩暈を覚えた。 「ガラスに手を突いてろ」 堂上にそう言われ、郁は言われるがままに硝子に手を突く。 郁が硝子に身体を預けるや否や、浴衣の裾が捲り上げられた。 「え……?」 何をしようとしてるのか、確認しようと郁が振り返るより先に、 蜜壺に硬いものが宛がわれ、一気に郁の身体に突き立てられた。 「あぁ……っ」 快感が身体を駆け抜ける。 せめてベッドで……と言おうとするものの、 それすら許されない程性急に攻め立てられた。 堂上の腰の動きに合わせて、郁の視界が大きく揺れる。 「やっ……あっ……んっ……ふっ……」 声を抑えたくても、唇を噛締めてはいけない、と言われてしまった以上、 郁に声を止める術は残っていない。 ベッドならば、枕やシーツで声を抑えることが出来るが、窓際では噛めるものはない。 初めての時のように、堂上の肩に噛み付くという手もあるが、 後ろから突かれている以上、それも無理だ。 その前に、そんなことをすれば、 また事後に膝詰めで説教されるという間抜けな展開になってしまうので、 流石にそれは勘弁願いたい。 堂上は、更に郁を追い詰めるように、郁の膣壁を抉るように、肉棒を突き立てる。 堂上が擦り上げる度に、郁の快感は更に膨らみ、上り詰めていった。 「郁、ガラス見てみろ」 耳元で囁かれた甘い声に、郁はゆるゆると瞼を開ける。 そこには、浴衣の合わせ目から胸を零して、 後ろから突かれて欲望に身を任せる浅ましい自分の姿があった。 あまりの恥ずかしい姿に、郁の瞳から完全に瞬きが消える。 「や、やだ……っ。見ないで下さい……っ」 慌てて瞳を閉じると、硝子から目を背けた。 目を閉じても、堂上が見えてしまっているので大した意味はないのだが、 自分が見えないだけまだいい。 「なんでだ」 「は……恥ずかしいからに、決まってるじゃないですか……っ」 「せっかくエロいのに、見ないはずないだろ」 再び、堂上の腰が激しく動き始める。 「あぁっ」 もう声が抑えられない。 堂上の腰の動きに合わせて、だらしなく開いた唇から、淫猥な声が零れた。 「や……あぁ……あんっ」 恥ずかしくて堪らないのに、気にする余裕すら完全に堂上に奪われてしまった。 もう郁に残されているのは、目の前にある快楽を貪るという淫欲だけだ。 ふと、後ろから伸びてきた手が、興奮して剥き出しになった愛芽を擦り上げた。 郁の中の快感が更に膨らみ、郁は一際高い声で啼いた。 「あぁぁぁぁぁっ」 「郁……っ」 腰の動きも更に早くなり、容赦なく堂上の手が愛芽を嬲る。 強大な快感に、もう立っているのもままならない。 郁は、縋るように窓硝子に頬を寄せた。 興奮して熱を孕んだ頬には、窓硝子の無機質な冷たさが酷く心地が良かった。 熱と快感が溶け合い、もう繋ぎ目すら曖昧だ。 窓硝子の顔を寄せたまま、郁は快楽を貪る獣のように声を上げる。 瞼の裏で閃光がちらめき始めた。 思考が真っ赤に染まってもう何も考えられない。 「郁……っ」 堂上が更に強く腰を打ちつけた、その時だ。 郁の中の快感が一気に弾け、郁はそのまま快楽に身を任せるように、意識を手放した。 ゆるゆると瞼を開けると、堂上が寝かせてくれたのか、郁はベッドに横たわっていた。 「あ……れ……? あたし……」 郁は、まだ朦朧としている頭を振って、頭の中の白い影を追い遣りながら、半身を起こす。 「気がついたか」 不意に声がして、郁は弾かれたように声がした方へ顔を向けた。 そこには、少し不貞腐れたような表情を浮かべて、ソファに腰を下ろしている堂上の姿があった。 「は、はい……。あの……あたし、もしかして寝てました?」 「あぁ。高鼾でな」 「……え?」 「かなりすごかったぞ。あんな鼾、初めて聞いた。玄田隊長に勝てるんじゃないか?」 「えぇっ!?」 堂上から告げられた言葉に、思わず卒倒しそうになる。 好きな人と肌を重ねた直後、高鼾で眠り込んでしまうとは、彼女としては失格だろう。 郁は、ガクリと肩を落として項垂れると、クスンと小さく鼻を鳴らした。 「元はといえば、俺が無理をさせたせいだから、気にするな」 堂上は、ソファから立ち上がりベッドに近付くと、ゆっくりと郁の頭を撫でる。 その手は、高校生の時、助けてくれた王子様の手だ。 その時と同様、相変わらずその手は優しくて温かい。 「でも……彼女として……いえ、女として終わってますよね」 堂上に頭を撫でられても、やはりショックは拭えず、郁の頭は項垂れたままだ。 「まあ、お前にそういうのは求めていないから安心しろ」 「はあ!?」 堂上は慰めようとしたのだろうが、郁にとっては聞き捨てならない言葉だ。 郁の頭が勢いよく上がる。 普通恋人ならば、ここは「どんなお前でも好きだよ」と言うところではないだろうか。 正直、堂上の言葉は全くその通りなのだが、 やはり女としてはこのまま流すことなど出来ない。 「求めてないってなんですか、求めてないって! それってあまりに失礼じゃありませんか!?」 「アホか、貴様っ! そういう言葉は、それなりの言動をするようになってから言えっ!」 「ひ、ひどい……っ! 大体、教官が見境もなく盛るから悪いんですよっ! もう少し落ち着いて下さいっ!」 「落ち着いてって……お前が言うなっ!」 部屋に二人の口論という名の漫才が響く。 不毛な戦いは、二人の息が切れるまで続くのであった。 【おわり】
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1スレ目 127-129 なんだ、この山は。 そのあまりに高い頂に、堂上は思い切り顔を顰めた。 その日、堂上は残業だった。 暗がりの中、寮の玄関が見えると、そこにはよく知る人物が誰かと親しげに立ち話をしていた。 よく見れば玄関の中では二人のやりとりを興味津々といった様子で見ている女性達の姿も見えた。 思わず足を止めている自分に、相手の方が先に気づいた。 「堂上教官!」 よく通る声は、頭の痛い、だが気になって仕方がない部下の笠原郁のものだった。 ここて突っ立ている訳にもいかず、ごく自然に足を進める。 そしてごく自然に彼女の前で立ち止まり、 「外で話していないで、中に入ってもらったらどうだ」 親しげに話しているところを見る限り彼女の関係であることは間違いない。 ならば、こんな目立つところたで立ち話というのもなんだろう。 あくまでも、一般論としてだ。 やはりというか、予想していた通り、郁と話してのは大柄の男だった。 郁の170cmを遙かに越える大男を前にすると、堂上は見上げなくてはならない。 すると、相手の男は挑発的とも思えるように、しげしげとこちらを見下ろしてきた。 どうして自分がこんなにも居心地が悪く感じなければならないのだと、内心憤慨していると、 男は堂上が来たことが丁度いいとばかりに去っていってしまった。 ちらりと横目で郁の様子を伺うと、心底嬉しそうだった。 その表情を見てしまい、堂上は自分の運の無さを呪った。 もっと残業をしてくるんだった、そうすれば、こんな場面に出会わなくともすんだというのに──。 その理由はあえて考えたくもなくて、腹に溜まったもやもやとしたものは寝酒で誤魔化した。 とはいえ、そんなもので解決できれば、最初から気にするはずもないのだ。 自分の知らない男と親しげに、しかも全開に心を開いているような笑顔にわだかまりを覚えるなんて、間違っている。 そう頭では理解しているのに。 それを堂上は一番手っ取り早く、一番最低な方法で解決してしまった。 「今度の休みは同じでいいか。」 そう郁の耳元で尋ねると、相手は顔を真っ赤にして身体を硬直させてしまった。 こうなることは予想済みだったので、今、事務室には堂上と郁の二人だけだ。 そしてその問い掛けは初めてではない。 それは二人だけの暗号のようなもので、暗黙の了解でもあった。 後ろ暗い感情も、こうなってしまっては沸き起こる欲情の糧にしかならない。 自慢のすらりとした脚も、流れるような身体のラインも、申し訳なさそうに揺れる乳房も、その全てが堂上を興奮させる。 どうしてこんな女が良いんだと自問しても、上手く答えが見つからない。 良いと思ってしまうのだから仕方ない、 だから、あんな些細なことで苛立ちを覚えるのだ。 「きょ、教官っ、もう、私、だめっ……!」 嫌々と首を横に振る郁を背後から抱きしめて、耳元で意地悪く囁く。 「一緒がいいんだろう?もう少し我慢しろ」 「やっ、あっ、ああんっ!」 更に深く郁の芯を焚きつけるように押し上げ、堂上はその中で果てた。 とはいえ、残るものといえば罪悪感だから居た堪れない。 またやってしまったと──頭を抱えたくなる堂上に、郁は不思議そうに首を傾げた。 そして思い出したように、 「そうだ。中兄が、堂上教官によろしくって言ってました」 「チュウニイ?何だ、その怪しげな暗号は。」 そう尋ねると、郁は少し前にあったあの寮での玄関のやり取りを話し始めた。 「多分、お父さんから聞いていたんだと思います。教官がどんな人か興味があったみたいで会えて良かったって」 訳の分からないまま、いきなり「お父さん」などというワードも出てきてしまい、堂上はますます理解できない。 すると郁はバックの中から一枚の写真を見せた。 「家族です。これが両親で、こっちが兄貴達。三人いるから、大中小」 そう説明されて、ようやく堂上は理解した。 真ん中の兄だから、中兄なのか。 納得がいくと今度はそんな相手に苛立ちを覚えてしまった自分に自己嫌悪を覚えた。 よりにもよって、兄だとは。 郁のいる手前、ここで落ち込む訳にもいかなくて(気付かれればここぞとばかりに攻撃してくるに違いない) とりあえずその件は棚上げにして、改めて写真を見た。 ……しかし、何だ。 見事に長身の兄達に、女性としては長身の部類に入るであろう郁が並ぶ姿は、もはや圧巻といっても過言ではない。 「……日本四大山脈か、これは」 うっかり自分がその輪に入った光景を想像し、堂上は慌ててその不毛な想像をかき消した。
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裏リアル彼女について 裏リアル彼女とは「リアル彼女」の通販予約特典のことです。 内容は「アブノーマルHシーンヴューアー」ということで、リアル彼女本体では味わえないHシーンが同梱されているとのこと。 以下引用 本当のリアルを求めて イリュージョンの最新作「リアル彼女」ついに通販予約を開始しました!通販予約特典としまして、他では手に入らないアブノーマルHシーンヴューアー「裏リアル彼女」をお付けします! 通販予約の締切りは2010年2月15日(月)朝10 00となります。締切りを過ぎますと予約特典をお付けできませんので、ご注意頂けます様、お願い致します。また、特典の数には限りが御座いますので、無くなり次第、締切日より前に通販予約を終了する場合が御座います。 リアル彼女を予約すると… イリュージョンオンラインでしか手に入らない! リアルな彼女たちのHシーンだけを集めたアブノーマルな『裏』Hシーンビューアー普段は見せない彼女たちの危険でエロエロなHをぜひ味わってください! カメラアングルを自由に決定!好みの角度から女の子達のリアルタイムHシーンを楽しめる!
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1スレ目 388-391その1 何故かその晩の恋人はすこぶる機嫌が悪かった。 その晩は特殊部隊の宴会で、かこつけた理由は先日昇進した隊員を祝うためだという。 郁からすればその理由も単に賑やかな席で酒が飲みたいからではないかとも思うのだが── 何かにつけて宴会したがる隊長とそのノリに付いていく先輩達を見ていると、そうとしか思えない。 とはいえ郁も賑やかな席は嫌いではないし、大半の参加者が食事よりも酒のウエイトが高く、好きなものを存分に食べることが出来るので、それなりに楽しみだったりもする。 惜しむならば、酒を飲み交わす堂上や小牧、手塚達を見ていると自分も飲めればよかったのにと思うこともあるぐらいだろうか。 あの輪に参加できない自分だけ除け者にされたような気がしてしまうからだ。 だから本来部外者である柴崎が参加してくれるのはありがたかった。 先輩達は柴崎の参加を諸手をあげて歓迎するし、郁も一人にならくてすむのだから一石二鳥だ。 ただ唯一問題があるとすれば柴崎は飲み過ぎるとキス魔になってしまうことだろう。 しかし絡む相手は酔っていても選んでいるようなので、それほど心配はしていないのだが、何故か柴崎が郁にキスをしようとすると周囲がどよめく。 キスといっても軽く唇が触れるぐらいものであるし、郁としては大したことではないと思うのだが──、 初めて付き合うことになった五歳年上の恋人は違ったようだ。 「教官、何怒ってるんですかー!?」 酒に弱い郁は一次会でリタイヤするのが常で、以前は直属の上官として、今は恋人として、堂上と基地へ帰る。 いつもは二人きりになれる僅かな時間だからと手をつないでポケットに入れてくれるというのに、柴崎が宴会に参加した晩はそうしてくれる気配すらないことに今晩気づいた。 ふてるようにスタスタと先を歩く堂上に郁はついていくのが精一杯だ。 それでも一人にはしないので、それなりに気遣ってくれてはいるのだが、呼びかけても会話らしい会話にならず郁には訳が分からない。 一体、堂上は何に怒っているというのか、全く分からない。 こちらを拒絶するような背中を見ていると、その背中が不意に歪んだ。 泣いているのだと気づいたのはそれから少ししてからで、泣いているのだと自覚すると途端に悲しさでいっぱいになった。 追いすがるように動かしていた足も気が付けば止まっていた。 堂上の背中がどんどん遠くなる。 もう手を伸ばしてもその背中には届かない、その心には永遠に届かないのかもしれない。 ひっく、としゃくり上げると、堂上は振り返るとぎょっとし、駆け足で近寄ってきた。 「こんなところで泣く奴がいるか、アホウ!」 「だって教官、呼んでもろくに返事もしてくれないし、あたしついていくのがやっとだし、それってあたしのこと嫌いになったってことじゃないんですか?」 すると堂上は酷くきまり悪そうにポケットからハンカチを差し出してくれた。 「──すまん。お前のせいじゃない」 「だったらどうして怒ってるんですか?」 堂上は言葉に詰まったように視線を反らした。 あたしに言えないことなのか、と違う意味でショックを受けると、堂上は違うと声を荒げた。 「違うんだ……ただ、その……今度から酒の席に柴崎は呼ぶな」 「どうしてですか?隊長や先輩達は喜んでるじゃないですか」 どうして堂上の機嫌が悪いことと柴崎が関係しているのか、郁にはさっぱり分からない。 首を傾げる郁に堂上は苛立ち半分諦め半分という表情をし、 「……お前が他の奴とキスしてるところを見せられて、俺が喜ぶとでも思うのか?」 「だって相手は柴崎ですよ?」 「柴崎でもだ」 そもそも郁の中では同性とのキスはノーカンだ。 学生時代から何故か異性よりも同性、しかも後輩から慕われることが多く、キスだって女同士のスキンシップの一つぐらいしか考えていなかった。 しかし堂上から見れば柴崎の郁へのキスは意図的であることはすぐに分かった。 あれは郁を盗られたことへの嫌がらせに違いないのだ。 郁にキスした後、彼女は決まって嬉しそうに堂上を見るのだから。 柴崎がどれほど郁を思っているのかは知らない。 だが他の同期との接し方が違うということは、彼女の中で郁の存在が特別あるということにはならないだろうか。 同性であるからこその友情と、決して異性のような繋がりを持たないことへの嫉妬──こちらを見る柴崎の視線を感じていると、そう思わずにはいられない。 こんな風に指摘されても郁は全く分からないというように首を傾げることも、柴崎は知っているのだろう、きっと。 「それに俺だと未だにガチガチに緊張するのに、柴崎相手だと平気なのが分からん」 「あっ、当たり前じゃないですか!」 さも当然のように反論する郁に堂上は途端に仏頂面になった。 身体を重ねるようになっても未だに自分からキス一つすることも出来ない郁の初心さが可愛いことも事実だが、自分以外の相手に平気な顔をしてキスされているとこを見てしまうと、やはり恋人としては面白くないのも本音だ。 「だって、お、男の人とキスするのは教官が初めてなんですからっ!そ、それに、す、好きな人とするのも……初めてだし……」 泣き顔だった郁の顔はいつの間にか熟れたトマトのように真っ赤になっていた。 結局最後はまともに喋れなくなり口籠ってしまった郁は拗ねるように堂上を見た。 郁からすれば睨んでいるつもりなのかもしれないが、堂上からすれば逆効果だ。 「え、あ、あの、教官、待って──」 「いやだ」 三十路過ぎた男が吐く台詞じゃないなと内心ぼやきつつ、戸惑う郁の唇を塞いだ。 ぐっと舌を強引に押しこんで逃げ惑う舌を絡め取り、吸い上げると、郁は苦しそうに眉を潜めた。 いつもならばこの程度で止めてやれるが、あんな破滅的に可愛い台詞を言われて、この程度のキスで収まりがつくはずがなかった。 狭い口内を蹂躙するように舐めあげて、貪りつくようなキスをこれでもかと味わった。 既にその頃になると郁の身体はがくんと力が抜けてしまい、ずるずると地面に座り込んでしまっていた。 ここが路上でなければ、そのまま仰向けに寝転がせて、更に郁自身を味わうことが出来ただろうに。 ゆっくりと唇を離すと郁の息は上がっており、その瞳は先ほどとは違う涙で潤んでいた。 こんな郁の顔が見れるのは、この世で自分だけだ──それが堂上の苛立っていた気持ちを静めてくれる。 そして求めるように、その唇から名を呼んでくれるのは自分の名であり──それがどうしようもなく堂上の欲情を煽るのを、この手に疎い年下の恋人はまだ気づいていなかった。 「──郁、」 そう名を呼ぶと郁の顔は一層赤くなった。 鈍い郁でも堂上が何を求めているのかは気づいたらしい。 何も言い返さないのは郁にとって了承と同じ意味だ。 地べたに座り込む郁を立ち上がらせると、堂上は今来た道を引き返した。
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第210話:初めての電話 作:◆lmrmar5YFk 静雄を探したい。セルティのその願いを、保胤は快く了解した。 セルティの話を聞いた限りでは、静雄は彼女の無二の親友らしい。その上、とにかく物凄く強く、味方についてくれれば何よりも心強いそうだ。 この島に保胤自身の知人が一人もいない事を考えれば、同盟を組んだ彼女の友人を探すのは重要事項と言って良い。 夜を明かした海岸近辺から南東の方向へと進んでいた二人は、視線の先に何かが落ちているのを発見した。 「誰かの支給品のようですね」 『一時的に置いてある、とは考えにくいな』 その荷物は木陰や建物の中などではなく、草の間に無造作に放置してあったので、セルティがそう思うのは尤もと言えた。 ちなみに、それはシロちゃんことトレイトン・サブラァニア・ファンデュが中も見ずに置いて来たデイパックであったのだが、彼らがそんなことを知る由もない。 周囲を見渡し、特に罠などでなさそうなことだけ確認すると、袋へとおもむろに手を伸ばした。 『中身を見たほうがいいな。武器や食料が残っているかもしれない』 セルティの提案により、デイパックを空けた二人が最初に目にしたのは全く手付かずの食料だった。 『これだけでも十分幸運だな。…持ち主はどうしているのか知らないが』 言外に、本来の所有者が死んでいるかもしれないとの思いを含ませて、セルティが書き連ねる。 パンとペットボトルを自分たちの荷物に詰め替えるセルティの横で、保胤がデイパックの底に手を入れた。 「まだ何かあるようですが…?」 硬く冷たい板のようなものの感触が手に当たったのに気づきそう呟くと、探り当てた『何か』を指の間に挟み込んで袋の中から摘み出す。 「!」「?」 目を見開くセルティと首をかしげる保胤。二人の反応の差異が、彼らの間に本来流れている筈の年月を如実にあらわしていた。 『静雄の携帯だ』 手元の紙に手早くそう書くセルティ。その書体は先ほどまでと比べると所々荒く、彼女が混乱しているらしいことがよく分かった。 しかし、一方の保胤は平安時代の人間である。いくら彼が聡明とはいえ、1900年代に発明された機械を知っているわけはない。 彼は、不思議そうな顔でセルティに尋ねた。 「この板が一体どうしたのですか?」 『ん…? ああそうか。知らないに決まっているな』 そこから数分、セルティが講師を務める「誰にでも分かる・初めての携帯電話使い方教室」が開かれた。 「…つまり、これを用いれば離れた場所にいる相手とも会話ができる、と?」 『まあ、そう言うことだ』 「信じられません」 こんな板が、とでも言いたげな保胤に、セルティは応える。 『私も信じられないよ…』 セルティは、保胤から渡された携帯電話を震える手で操作した。 その手の中にあるのは、見慣れた平和島静雄のものに間違いなかった。前面の特徴的な塗装の剥げには、確かに見覚えがある。 電話はなぜか圏外ではなく、利用可能地域を示すアンテナが表示されていた。 だが彼の電話帳に登録された番号に手当たりしだい電話をかけてみても、ざぁざぁという雑音が聞こえるばかりで、一向に繋がる気配はない。 しかし、とここでセルティは思った。この携帯電話は単なる外れアイテムなのだろうか? いや、それはない。このゲームの『主催者』たちがそんな意味を成さないことをするとは考えがたい。 つまり、私の推測が正しければ―。 『聞いてくれるか。この携帯には私の番号が登録されている』 「はい?」 セルティが何を言いたいのか分からない(と、いうかそもそも何を言っているのかもよく分からない)保胤が微かに困り声で返事をする。 『簡単に言うとだな、この島のどこかに恐らく私の携帯がある。その一機とだけ、この携帯は繋がるはずだ。 誰が持っているかは分からないが、相手が話を聞く人間なら、私たちの仲間になるかもしれない』 「僕がですか? しかし…」 『仕方ないだろう。私は声が出せないのだから』 そう言うと、セルティは頭部の欠けた自身の首の上を、立てた指で示した。 セルティ本人は普段メールにしか携帯を使わない。しかし、こんなときにメールを打っても誰かに見られる可能性は低い。 その上、たとえ誰かが見てくれたとしても、まともに返信が返ってくるかどうか保証はないし、好きなことを書いて送れるメールでは、偽証も容易い。 それよりは、直接相手の声を聴いて交渉することのできる電話のほうが、同盟を組む相手を探すには都合がよいだろう。 そう思っての決定だったのだが、喋れない自分に電話がかけられるわけもなく、仕方なく保胤に頼むことになったのだ。 『頼む。静雄か、味方になってくれる誰かを見つけたいんだ』 「…分かりました」 セルティのその言葉に、保胤はとうとう首を縦に振った。 未知なる物への好奇心は確かに人と比べて強い方だろうが、千年以上も先の文明の機械など正直奇怪でしかない。 それでも、彼女の頼みが切実であることは分かっていたから、断ることなど不可能だった。 『ありがとう。感謝する』 保胤に優しげな字でそう礼をすると、セルティは、画面を見ながら自分の登録番号を呼び出した。 ―鬼が出るか、蛇がでるか、はたまた救いの神が出てくれるか?― ピ、ピポパポ、ピ。 セルティが指で突起を押すたびに流れる機械音。それらは不意に「プルルルル…」という音の連続に変わった。 『これで、繋がるだろう』 セルティは一言だけそう書くと、持っていた電話を重々しく保胤に手渡した。 【B-2//1日目・07 45】 チーム名『紙の利用は計画的に』(慶滋保胤/セルティ) 【慶滋保胤(070)】 [状態]:正常 [装備]:着物、急ごしらえの符(10枚) [道具]:デイパック(支給品入り) 「不死の酒(未完成)」・綿毛のタンポポ・携帯電話 [思考]:静雄の捜索・味方になる者の捜索/ 島津由乃が成仏できるよう願っている 【セルティ(036)】 [状態]:正常 [装備]:黒いライダースーツ [道具]:デイパック(支給品入り)(ランダムアイテムはまだ不明) [思考]:静雄の捜索・味方になる者の捜索 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第209話 第210話 第211話 第347話 時系列順 第216話 第184話 セルティ 第239話 第184話 慶滋保胤 第239話
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初めてのatwikiです。テスト用なのであんまり見ないでくださいw 管理人:zx38 名前 zx38 在住 茨城県 身長 165~170? 体重 50kg? 端末 windows/android ”全員が全員iPhoneだと思うなよ” 年齢 非公開 花粉症 有 備考 さえない男性おんj民です
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初めての地球 辿り着いたこの場所が 当たり前になっていて 忘れたくても忘れられない 友達になってた その素敵なクルーたちが 大きな虹をかけた やがて橋になって 違う道が出来たよ 遠くまで行ってみようよ 山 海 森 砂漠があって どこからでも太陽が照らすこの町を「地球」と呼んだ ありがとう 一緒に来てくれて 疲れちゃったから 少し休ませて あぁ 夜が来ちゃったね じゃあ また 夢の中で 花が咲こうって頑張ってる しおれた花の隣で 刻まれる時と共に 歳をとることも知った 誰かさんと誰かさんが ずーっとしゃべりつづけている やがて涙に変わるその笑顔の 輝きが保たれたままで 友達が形じゃなくて 知識と技術に変わり 町は姿を変えた 二度と戻らないだろう さようなら また会えるかなあ この地球のどこかで 波が押し寄せ 風が吹き抜け 視線は視線と一致したりして だから地球には 愛がある 初めての地球は こんなに散らかってた その一つ一つを 忘れられずに 誰かさんのポケットに 喜びが詰まっていて それを分け合う時は 少し大人になってる 交し合う言葉の 意味は解らなくても ずっと友達だから 全部通じ合える 愛を隠すための 嘘ばっかりだけど 一人で悩む涙だけは 正直になれるんだ 分かり合うために 見つめ合うために 通じ合うために 心があるから 愛がある ありがとう 巡り会えたこと 同じ空の見える場所で 友達になれたよ 我慢強く走ってきた 地球の中で 学んだこと たくさんあったけれど さようなら 「君」にまた会える 「僕」と同じ 互いに友達だから 桜と名づけた花が 乱れ散るけど 地面は愛の色に染まって さようなら 会えてよかった 綺麗な涙流せるでしょう 誰かの目の前で 誰かが消えてしまっても 今は前しか見えないからさ ついには「君」を「君」と呼んだように 人は人の心で 世界は地球の心で 全ては全ての中で 通じ合って 生きている ラララ…… 初めての言葉は 何もわからなかった 初めての友達は 知らないうちに知っていた 初めての出会いは 今でも隠している 初めての嘘は 今はもう本当になった 初めての夢は 夢で終わってた気がした 初めての告白は 涙の味が違ったな 初めての別れは 初めて地球を感じたんだ 初めての地球で 生まれて本当に良かった ありがとう 名前 コメント すべてのコメントを見る
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堂上直倫(24) 堂上直倫(どのうえ なおみち、1988年9月23日 - )は、日本のプロ野球選手。中日ドラゴンズに所属。ポジションは内野手。背番号は24。愛知県春日井市出身。父は元中日ドラゴンズ投手で、現在ドラゴンズの寮『昇竜館』館長の堂上照、兄の堂上剛裕も中日ドラゴンズ所属。「超高校級スラッガー」、「尾張のプリンス」とも呼ばれる。 引用元Wikipedia
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初めての方は読むといいよ! 足利サーバーは、マインクラフト初心者や、マルチサーバーが初めて、という人も大歓迎です。 しかし、サーバーに参加して、最初はどうしたらいいのか分からないと思います。 初めてサーバーに参加して来た人には、鯖管がいろいろ教えますのでご安心ください。 一応、このwikiにも、やるべきことを書いておきます。 基本、わからないことはサーバー管理者のashikaga199に聞いてください。(敬語などは使わなくていいです。のんびり楽しくやっていきたいので。という自分が敬語使ってたり。) 鯖主-ashikaga199 コメント 副鯖管-Zion_ac こんにちは!Zion_acと言います。いつもは初見さん対応、荒らし対応、質問対応、パトロールなどをしています。 足利さんがいない時や忙しい時は僕が答えるので気軽に声掛けてください。 ジオンさんとかacさんとか呼んでいただけると嬉しいです。荒らしやよろしくない行為をした場合は厳しく注意します。 どうぞよろしくお願いします。